• 投稿者:管理人 ととろ
    投稿日:2024年09月20日(金)23時04分39秒 通報 編集 削除 返信
    “聴こえない世界”も体感させる、ろう者の母と息子が奏でる物語

    『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
    監督/呉 美保
    出演/吉沢 亮、忍足亜希子ほか
    2024年 日本映画 1時間45分 9/20より新宿ピカデリーほかにて公開
    ※公開時期・劇場などが変更される可能性があります。

    https://www.pen-online.jp/article/016955.html

    アカデミー賞作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』をきっかけに、耳の聴こえない両親のもとに生まれた、聴こえる子どもをコーダ(CODA=Children of Deaf Adults)と呼ぶことを知った人も多いのではないだろうか。この映画の原作は、コーダである作家の五十嵐大の自伝的エッセイ。『そこのみにて光輝く』などさまざまなかたちの家族の物語を紡いできた呉美保監督が、このエッセイに自身のアイデンティティも重ね合わせ、9年ぶりとなる長編作品を完成させた。

    主人公は、宮城県の港町でろう者の両親のもとに生まれた大。手話を使って大好きな母を助けていた無邪気な男の子はやがて、自分の両親はどうやら友達の家とは違うことに気づき、恥ずかしさや苛立ちを感じるようになる。思春期を迎えた大はついに、「こんな家に生まれてきたくなかった」という酷い言葉を母親にぶつけてしまうのだ。

    上京して世界が広がり、大人になっていく途中で大はいかにしてコーダである自分と向き合い、母親との関係を結び直していったのか。呉監督は私たちに“聴こえない世界”を体感させる無音の場面も織り込みながら、湿っぽいムードに流れることなく、ときにはあっけらかんとしたユーモアを交えながら、大の成長の過程を見つめている。